[文化大賞公演] 技巧より感情…成熟したバレエ

[文化大賞公演] 技巧より感情…成熟したバレエ

-審査委員レビュー

バレエ「オネーギン」

跳び、回転する技巧の代わりに内面の演技に集中

ソ・ヒ(ヒー・セオ)- ロベルト・ボッレの華麗なキャスティングに注目

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バレエ「オネーギン」の一場面(写真=ユニバーサル・バレエ)

去る10日、芸術の殿堂オペラ劇場では、この時代最高のドラマバレエ「オネーギン」がユニバーサル・バレエによって新しく誕生した。 プーシキンの同名詩劇を基にジョン クランコが振付した「オネーギン」はドラマティック モダンバレエの絶頂を見せた作品である。 2009年に初演し、2011年LGアートセンターでの公演に続き、3回目にして芸術の殿堂オペラ劇場にて上演された。

「オネーギン」はロシア ボリショイ劇場の指揮者ミハイル・グラノフスキーを招聘し、さらに豊かな音楽と共に、より一層高い完成度を見せた。 高く飛び、素早く回転する派手な技巧の代わりに登場人物の内面を豊かな感情表現で描き出した踊りは、品格と感動を十分に観客に伝達したであろう。

「オネーギン」ではいくつかのキーワードを見出す事ができるが、一番目に鏡は運命的な愛の媒介体として表現される。 1幕1場での鏡は、タチヤーナがオネーギンを運命の男性として受け入れるという媒介体だ。 1幕2場では、タチヤーナの夢の中で彼女の部屋にある大きい鏡にオネーギンが登場する。 大きい鏡はオネーギンに対するタチヤーナの情熱を表す。 そして3幕では、タチヤーナの鏡の中に彼女の夫となったグレーミン公爵が見える。

二番目は手紙である。 お互いに対する思いは手紙を通じて伝えられ、手紙を通じて拒否される。 手紙は二人の交錯した運命を表現する。 三番目は木。シンプルでクリーンな舞台の上に六株の木が目を引く。 1幕で葉が生い茂った木は運命的な愛に対するタチヤーナの期待感を、2幕のやせほそった冬の木は、タチヤーナとオネーギンを取り巻く悲劇を象徴する。

今回の公演での最大の関心は、オネーギンを演じるミラノ・スカラ座バレエのエトワール(最高ダンサー)ロベルト・ボッレと、アメリカンバレエシアター(ABT)のプリンシパル、ソ・ヒに集中していた。 ソ・ヒはバレリーナとしての完璧な身体条件および正確なテクニック、容貌まで、彼女を付いて回る数多くの賛辞が今回の舞台を通じて事実であることを立証した。 ソ・ヒは1幕2場のパ ド ドゥを通じて以前よりはるかに豊かな感情表現を見せ、成熟した姿で舞台を掌握していった。 オネーギンのロベルト・ボッレもまた、パートナーとの呼吸はもちろん自身の踊りも完璧で繊細に、動作一つ一つを、息を飲むように表現をした。

クライマックスは3幕で見せる、オネーギンとタチヤーナのパ ド ドゥ(2人舞)である。 ガラ公演でもよく登場する場面で、すでにシュツットガルト・バレエのカン・スジンにより広く知られている。 今回のソヒの踊りを見ながらカン・スジンの踊りが重なった。 カン・スジンがドラマティックな表現力が強みならば、ソ・ヒは美しいラインで表現されるテクニックが強みだ。

ユニバーサル・バレエが見せた今回の公演は、主役以外にもすべての団員の安定しレベルの高い技量と演技が伺えた。 オリガ役のイ・ヨンジョンはしっかりとした技量で、レンスキー役のホワン・ジェンは上品な姿でパドドゥの良いアンサンブルを見せた。 公演が終わって10分余り続いたカーテンコールでは、我が国の観客水準がとても向上したということを感じることができた。 このような良い作品を通して感動を伝え、バレエ観客のすそ野を広げることにも寄与することを願って、来年30周年を迎えるユニバーサル・バレエの歩みを期待してみる。

 

【Edaily】

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