スポーツ、映画そしてバレエ

スポーツ、映画そしてバレエ

yoyo201303081747060

 

ジュリア・ムーン/ユニバーサル・バレエ団長

 

何日か前にモスクワ グランプリに参加した新体操ソン・ヨンジェ選手がこん棒で銅メダルを受賞して話題になった。 だが私には銅メダル受賞の便りよりソン・ヨンジェがリボン種目で、バレエ「白鳥の湖」の音楽で出場したという知らせの方がはるかにうれしく感じられた。

 

キム・ヨナ、ポートマンに出会って大衆化したバレエ

 

ソン・ヨンジェの競技の動画を探してみた。 白鳥の湖1幕ワルツで始めて黒鳥パ ・ド ・ドゥの音楽で終わるのに、中盤に彼女が連続回転を回る動作はバレエ白鳥の湖中の最も印象的な場面の中の一つである「黒鳥オディール」の32回転フェッテが思い浮かんでとても興味深かった。 日本のフィギュア選手浅田真央も昨年ジャパン オープンで白鳥の湖を持って出場した。 ソン・ヨンジェの演技が黒鳥オディールに近いならば、浅田は白鳥オデットの雰囲気により重点をおいたものと記憶している。

 

我が国の大衆にバレエとスポーツが近く認識され始めたことは、去る2011年、キム・ヨナ選手がモスクワ世界選手権大会出場時バレエ「ジゼル」からのモチーフを取った別のショート プログラムをリリースしてからだ。 キム・ヨナを通じてフィギュアスケートに関心を持つことになった大衆は、彼女が選択したという理由でバレエジゼルにも関心を持った。

 

新体操が通常の体操と違い、フィギュアスケートのスピードスケートと区別される部分の一つは基本訓練プログラムに「バレエ」があるという点だ。 それで、同じスポーツだが新体操とフィギュアスケートは心で音楽を感じて指先からつま先まで乗って美しいラインを作るという点が、通常の体操やスピードスケートとの違いではないかと思う。

 

同じ年、私たちは世界中の人の注目を浴びたある一本のバレエ映画に出会った。 ナタリー・ポートマンが主演した「ブラックスワン」だ。 ブラックスワンはバレエ白鳥の湖に出てくる黒鳥オディールの悪魔的なイメージを象徴する。 映画の中で一日のヒロインに抜擢されたポートマンがストレスに勝ち抜くことができなくて自害をして幻覚状態に陥る姿は、バレエに従事する私たちにとっては共感しにくいものがあった。 ダンサーに若干の舞台恐怖症または、失敗なしで上手にしなければならないというストレスはあっても映画のように背筋が寒くなるような状況になる場合は殆どないためだ。 そんな彼女に比べて炭鉱労働者の息子で英国ロイヤル バレエ団のスターダンサーに成長する少年の話「リトル・ダンサー(Billy Elliot)」はかえって「ありえる話」に感じた。

 

ところで最もうれしい点は、キム・ヨナのジゼルとポートマンのブラックスワンがあった2011年から国内でバレエに目覚めた初心者の観客が増加しているという事実だ。 さらにギャグプログラム「バレリーノ」までヒットを打ちたてながらもとても高級なイメージという壁が感じられたバレエは、キム・ヨナに世界選手権ショート1位の栄誉を抱かせたジャンル、そしてコメディアンの体を借りて喜んで壊れた身近な芸術として大衆に近づいた。

 

その本来の姿にも関心を持ってくれる

 

スポーツがバレエと出会って芸術的に成長したとすれば、バレエはスポーツと出会って大衆的に成長をしたと見ることができる。 そうした点で、韓国二大バレエ団に数えられるユニバーサル・バレエと韓国国立バレエ団が平均有料客席占有率80%を超えながら、公演するたびに多くの観客と出会う現象は注目するに値する。 大衆がスポーツで発見したバレエの魅力、映画を通じて生じたバレエに対する好奇心、ギャグプログラムで知るようになったバレエへの親近感…. 他のジャンルを通じてバレエに初めて接した観客はおそらくバレエその本来の姿を気になっていると考えられる。そのため、今月12日まで芸術の殿堂オペラ劇場舞台に上がり白鳥の湖に臨む私たちのバレエ団の覚悟も格別だ。

 <ソウル経済>

http://economy.hankooki.com/lpage/opinion/201303/e2013030817475048910.htm