[インタビュー]カン・ミヌ 「新しい解釈のジゼル、難しいけれど面白い」

[インタビュー]カン・ミヌ 「新しい解釈のジゼル、難しいけれど面白い」

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カン・ミヌ, ユニバーサル・バレエ ‘グレアム・マーフィーのジゼル’ 2015-06-12 

バレエ ‘グレアム・マーフィーのジゼル’ アルブレヒト役

基本のあらすじを除き、全て変えた革新的な作品

【ソウル=ニューシス】イ・ジェフン記者 = ユニバーサル・バレエ(団長ジュリア・ムーン)が世界初演を前に準備しているバレエ、’グレアム・マーフィーのジゼル’の核心は新しさである。オーストラリア出身の世界的な振付家、グレアム・マーフィー(65)が、このバレエ団のためにロマンティック・バレエ ‘ジゼル’を再解釈した。

‘ジゼル’が、貴族’アルブレヒト’に出会い恋に落ちるが、裏切られるという基本のあらすじを除いてすべてが変わる。音楽、振付、舞台セット、衣装などが新たに生まれ変わる。

マーフィーに選ばれた、ユニバーサル・バレエのソリスト カン・ミヌ(27)も、主役ダンサー達の中で最も新しい。古典バレエの’ジゼル’を飛び越え、’グレアム・マーフィーのジゼル’の’アルブレヒト’としてデビューすることになった。冬シーズンのレパートリーである’くるみ割り人形’を除いて、主役を担うのも初めてだ。

ユニバーサル・アートセンターで最近会ったカン・ミヌは、”荷が重い”と言って笑った。”クラシックのジゼルではない、完全に新しいスタイルの’ジゼル’なので、とても難しいです。最初はどのように準備すればいいのかわかりませんでした。参考とするものがないからです。マーフィー先生の個人ウェブサイトに入って他の振付の映像を見て勉強しました (笑).”

ダンダンスのような独特なポーズの振付と、クラシックなマイムではない新しい状況で設定されたマイムを習得するのに苦労した。”動作だけでなく顔の表情でも心理状態を表現しなければなりませんでした。まともに演技をしてみたこともなく、初演なので基準もなかったため、まずは自分なりに解釈しようと考えました。考え続けていて、あまり眠れていませんでした。”

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カン・ミヌ, ユニバーサル・バレエ ‘グレアム・マーフィーのジゼル’ 2015-06-12

19世紀のロマン主義の流れを汲んで創られた’ジゼル’は、代表的なロマンティック・バレリーナ、カルロッタ・グリジの踊りを見た作家、テオフィール・ゴーティエがバレエの脚本を書いた。ハインリッヒ・ハイネが書いた詩から、ウィリ(Wili)という乙女の精霊の話を読みインスピレーションを受けた。アドルフ・アダンが音楽を担当し、1841年に初演された。

純粋な村娘のジゼルが、貴族 ‘アルブレヒト’に婚約者がいるという事実を知らぬまま、彼と恋に落ちるというストーリーだ。後日、衝撃を受けて心臓麻痺で死んだジゼルは、その後乙女の精霊となり、アルブレヒトを死ぬ危機から救う。

‘グレアム・マーフィーのジゼル’は、原作のように農民と貴族に身分を分ける代わりに、同じ価値を持つ二つの世界に区分する。ジゼルが住む世界は現実的で自然と近く、素朴な世界であるなら、アルブレヒトが住む世界は、より物質的で未来的であり、テクノロジー的だ。

アルブレヒトは、素朴な喜びや価値を追求するうちにジゼルを愛するようになる。この瞬間は、カン・ミヌのための場面である。彼は、アルブレヒトがジゼルに初めて会う瞬間を演じる時、”もう一度少年に戻っていくような感じがする”と言った。古典の ‘ジゼル’のアルブレヒトよりも淡く抑え気味という意味だろうが、日本で’美男子バレエドル’として注目されている、照れくさそうな微笑みが印象的なカン・ミヌに似合う。

“1幕でジゼルに初めて出会い一目惚れして、その状態で踊りながら醸し出すときめき、その感情を他のどのシーンの感情よりもよく伝えたいです。

音楽は、’小さな村の小さなダンサー’(映画)の音楽を担当したクリストファー・ゴードンが全曲を新しく作曲した。古典 ‘ジゼル’の音楽は、2小節ほどだけ使用した。”難しいです。初めの初めは、聞いて踊ることも大変でした。ところが聞けば聞くほどメロディやアクセントがすてきなんです。ドラマティックに広がって行くんです。マーフィー先生がストーリーを練り、ゴードン先生がその後すぐに音楽をつけて、パズルのようにストーリーと音楽がぴったり合います。”

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カン・ミヌ, ユニバーサル・バレエ ‘グレアム・マーフィーのジゼル’ 2015-06-12

新作であるため、このように難しい点が多いが、新しい創作は楽しいという。”好きなように解釈をするのが面白いです。マーフィー先生も、気に入られれば喜ばれて乗ってこられます。プロセスを考え、そのプロセスを学ぶことがとても勉強にもなります。”

細身の体型のカン・ミヌは、9歳の時、運動場で遊び回ると土埃で咳が出続けるほど弱い体質の少年だった。母が、京畿道イルサンへ引っ越した最初の日に、アパートのエレベーターについていた広告を見て、彼を運動も兼ねて次の日バレエスクールへ送ったのが今日まで続いた縁となった。

“最初は受動的でしたが、韓国芸術総合学校 予備学校(現在、英才教育院)に通いながら、同世代の男子たちに会い、そこで競争意識が出てきたり友情が芽生えたりしながら興味を感じました。”

その後2013年、ジョン・クランコのドラマティック・バレエ ‘オネーギン’において繊細で感受性の強い ‘レンスキー’ 役を巧みに消化し、ソリストに昇級したことがバレエ人生における転換点となった。”ジュリア・ムーン団長に自分がどんな役を踊りたいかをお話ししたのは、その時が初めてでした。”と笑った。”アルブレヒトが二番目の転換点になるかもしれません。まずは公演を成功させて終えなければいけないですね。”と、少年のように笑う彼の瞳は輝いていた。

ユニバーサル・バレエ ‘グレアム・マーフィーのジゼル’ : ジゼル役-ファン・ヘミン、カン・ミソン、キム・ナウン、アルブレヒト役-コンスタンチン・ノボショーロフ、イ・ドンタク、カン・ミヌ。 13~17日ソウル瑞草洞 芸術の殿堂オペラ劇場にて公演。指揮ミハイル・グラノフスキー、協演プライム・フィルハーモニック・オーケストラ。ランニングタイム100分. 1万~10万ウォン. 02- 580-1300. realpaper7@newsis.com

[Newsis]
http://www.newsis.com/ar_detail/view.html?ar_id=NISX20150612_0013723005&cID=10702&pID=10700