障壁のない自由のメッセージ「身体が身近になる」

障壁のない自由のメッセージ「身体が身近になる」

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「話さなくても分かります。ただ見つめれば」 大きな歓呼の中、幕を下ろしたTVプログラム<ダンシング9>は、言葉・文字ではない身体と動きで表現するストーリーが、どれほど強烈で美しいものか見事に見せてくれた。 馴染みの薄い彼らだけの言語という先入観に包まれていた身体のメッセージが、国境も障壁もない美しいコミュニケーションとなって私たちの身近にますます近づいている。

 

このように早いテンポのバレエもあるんだなと思った。 このように滑稽な表情でユーモアあふれる身振りが騒々しく行きかうのを見ても、舞踊というものが不思議なものに思えたりする。 世の中の喜怒哀楽を言葉で表現するように、身振りにもその全てを込めることができるということ、特別な解釈なしで、見たそのままを受け入れればそれが正解という舞踊の魅力は、まさにこのことだと思う。

 

鑑賞を限定しない自由の風は、バレエも例外ではない。 ユニバーサル・バレエの<This is Modern>は、「バレエ」といえば思い浮かぶ「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」あるいは「ジゼル」等の古典バレエではない、新鮮で意外な身振りを観客にプレゼントする。 難解に思われる現代舞踊がこれまでの誤解だったことをもう一度確認することのできるこの作品は、見えるそのまま、感じるそのままを受け入れる観客が、最も舞台を満喫する人になるだろうという愉快な提示である。

 

世の中で最も正直な、身体

 

「観客はより一層楽しく気楽に楽しむことができる舞台」だが「ダンサーにとってはより一層大変な作品」が<This is Modern>でもあると、ユニバーサル・バレエ プリンシパル イ・ドンタクとソリスト イ・ヨンジョンは口をそろえる。 一日中続く練習の中、各自時間を作って食事をするほど。

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ユニバーサルバレエ プリンシパル イ・ドンタク(上)とソリスト イ・ヨンジョン(下)

 

「ここではダンサーの大部分が一日に一食だけ食べると思います。 ダイエットのためではなく、朝はとても疲れているので食事より睡眠を選びますし、昼は終日練習が続くからです。 その代わりに一度食べる時には必ず食べたいものを食べます。 ピザが大好きです。」(イ・ヨンジョン)

 

仙和(ソンファ)芸術高校、韓国芸術総合学校の同期であり、バレエ団で一緒に活動している25才同年齢の友人である同僚イ・ドンタクは、「一人でラージ サイズ一枚を食べるほど」と、イ・ヨンジョンの答えを生き生きと証言する。 「バレリーナはひな鳥がえさを食べるみたいに食べて生活している」という話に首を左右に振る彼ら。 特にイ・ドンタクは「男性ダンサーは本当によく食べなければならなくて、選り好みもせず、ストレス解消のために酒もよく飲む」と、ダンサーに対する偏見を正す。

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だが、偏見でない真実それ以上のものが彼らの人生を満たしていることも当然である。 ダンサーが舞台の上で、白鳥のような優雅な動き、乱れないターン、疲れない体力のためにどれほど凄まじい努力をしているかは、バレリーナ カン・スジンの足を見た人なら想像に難くないはず。

 

「一日でも舞踊を休めば体のバランスが崩れてとても大変です。 公演の時も体の軸がとても重要なので、コンディションが良くなかったり前日のリハーサルがしんどかったと思う時は、寝る時にかたい床で寝ます。 腰がピンと伸びる感じがすると言うんですかね? そうすると翌日回転する時に中心がよりよく感じられます。」(イ・ドンタク) ダンサーなら皆一つずつは持っている職業病。左足首が良くない状態だというイ・ドンタクは、普段から階段を降りたり道を歩く時にも歩き方に特に注意を注ぐ。イ・ヨンジョンは負傷のために舞踊を辞めなければならない危機を体験したこともあった。

 

「大学に通っている時、左足の甲が良くなかったんです。 靭帯が伸びて破裂もありました。 バレエが出来ない状況でした。痛かったり良くなったりを繰り返す状況が1年間続いたのでもう一度ケガをしたらバレエを辞めるつもりで、リハビリを一生懸命死ぬほどしました。 ですがその時から本当にプロダンサーとしてバレエにずっと挑戦していきたいという気持ちが強く出てきて、身体も前より良くなりケガすることもなくなったんです。 痛くて休んでいると、早く舞台に立ちたい、もっと練習したい、本当に上手にできるのに、そのような思いになります。」(イ・ヨンジョン)

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一回公演を終えると「寿命が縮まる感じ」あるいは「気力すべてを出し切って話も出来ない状況」という彼ら。「少しでもバレエの中で幸福を見つけられなければたった一日でもできない」のがダンサーの道だという。

 

「<ダンシング9>に出演された全てのダンサーとこの番組に感謝します。私達も舞踊を伝える義務がありますが、その方たちが大きく伝えてくださったわけですから。 その余波のおかげで観客の方々は一度でも私たちの舞踊を見に来られることになって、その時どのようにその人々を魅了させるかは私たちの責任だと思います。」(イ・ドンタク)

 

感じたままに! それが正解

 

特別な動作が指し示す意味が込められた古典バレエとは違い、モダン バレエは振付家の意図により新しさが生まれ表現される。 目を回すほど精巧に構成されているが、観客はただ彼らの緻密な動きを武装解除された視線で楽しむことが最も良い鑑賞法。2010年から<This is Modern>というタイトルで、これまで簡単に接することができなかった爆発的なエネルギーと愉快な展開、破格的な衣装などで構成されたモダン バレエを披露したユニバーサル・バレエは、今年も全4編の奇抜な現代作品を準備した。

 

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<This is Modern>練習場面

 

ワインパーティーに招待されたカップルが、泥酔していきながら繰り広げるエピソードを盛り込んだ<ブラックケーキ(Black cake)>は、だんだん滑稽に変わって行く人々の姿にクスクス笑いが起きるコミカルな舞台。 ドビュッシーの音楽と調和し神秘的な森に吸い込まれるような錯覚を呼び起こす<ドゥエンデ(Duende)>は、ダンサー達の美しい動きの神髄に出会えるし、「小さな死」という意の<Petite Mort>ではスカート形の独特で巨大な小道具の登場と一緒に男女間の愛を、<6つの踊り(Sechs Tänze)>はナンセンスに見える6編の踊りを通じて私たちの心中にある難しい世の中をユーモラスに解いている。

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<小さな死(Petite Mort)>で呼吸を合わせるイ・ドンタクとイ・ヨンジョンは、<This is Modern>を観に来る観客に力説する。 「舞踊は決して難しいものではないですから。 楽しむ準備だけして来られればいいです。 観客が何か感じるならば、それが合っているんです。 あれは愛で、あれは悲しいこと、疑わないでください。 (笑)」

 

 

PLAY DB

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