冬眠から目覚めた舞踊界。「ひらひらと舞い上がろうか」
▲韓国国立バレエ団「ラ・バヤデール」、ドイツ ピナ・ バウシュ ヴッパタール舞踊団「フルムーン」、ユニバーサル・バレエ「春香(チュニャン)」(左から)
冬眠から目覚めた姫、王子が動きだす。
年末「くるみ割り人形」を最後にしばらく休止期に入っていたバレエ・舞踊界がうごめいている。 舞台を夢見るダンサーたちが、玉のような汗を流して苦難の行軍に出ていく時だ。 「新春と共にひらひら舞い上がろう」。各々このように叫んでいるだろう。
新しい女主人を迎える韓国国立バレエ団は3日忙しい様子だった。 カン・スジン新任団長はこの日の午後帰国。直ちに文化体育観光部に立ち寄って任命状を受けた後、ソウルの瑞草洞(ソチョドン)にある韓国国立バレエ団事務室に直行した。 これでカン団長は2ヶ月の間付けていた「内定者」の札をはずし、この日はじめて公式業務を始めた。
カン団長は先月ムン・ビョンナム氏の辞任で空席となっていた副芸術監督に、シン・ムソプ指導員を座らせて「カン・スジン号」の出港を準備していた。 これと共に指導員のほとんどを留任させてチェ・テジ前任団長体制を大きく揺さぶらない路線で新しい出発を固めた。 これは国内の実情を熟知していない新任監督として適応期を考慮した人事と見ることができる。
カン団長を新しい長とした韓国国立バレエ団の今年の公演は、3月13~16日「ラ・バヤデール」(芸術の殿堂オペラ劇場)で新しい門戸を開く。 ボリショイ・バレエのユーリ・グリゴローヴィチ版で昨年初演された作品。古代インド寺院を背景に120人のダンサー、200着あまりの衣装が動員されるブロックバスターバレエだ。 カン団長が直ちにすべき仕事も、この「ラ・バヤデール」のキャスティングである。 主役を誰に任せるか、その結果でカン団長の今後のスタイルを計り知ることができる。 この他に4月「白鳥の湖」、6月「ドン・キホーテ」、12月「くるみ割り人形」が予定通りに進められる。 新作は10月頃上演する計画の中、作品選定は最終決断のみが残った状態だ。
今年創立30周年をむかえたユニバーサル・バレエ(UBC・団長ジュリア・ムーン)は、先月日本で行った海外招請公演でからだをほぐした。 韓国国内の舞台では、来る21日~23日までソウル、瑞草洞(ソチョドン)芸術の殿堂で繰り広げるスペシャル・ガラが最初の公演だ。 UBCの30年のレパートリーを一ヶ所で見ることのできる舞台で、UBCと格別な縁を持つ海外スターバレリーナが大勢出演する。 アメリカンバレエシアターのプリンシパル ソ・ヒ(ヒー・セオ)、シュトゥットガルト・バレエのプリンシパル カン・ヒョジョンなどだ。今までガラ公演をほとんど行ったことのないUBCは、30年の歴史をこの公演に込めるという覚悟だ。
現代バレエのスター振付家ナチョ・ドゥアトのUBCでの新作「マルティプリシティ」(4月25~27日・LGアートセンター)もUBCの今年最大の野心作の中のひとつだ。 正統派現代作品を標榜するこの舞台は、これまで数個の現代作品を一度に上演する「This is Modern」と違い、ナチョ・ドゥアトにのみ集中する。 韓国国内に広範囲なファンを持つドゥアトは公演に際して直接来韓する予定である。
UBC 30周年記念作に上演されるバレエ「春香(チュンヒャン)」(9月27~28日・世宗(セジョン)文化会館)はすでに優秀な創作バレエとしての位置を確立した「沈清(シムチョン)」の後に続くのかが注目される。 UBCは去る2007年に初演したこの作品を、総体的にアップグレードさせて再誕生の水準で舞台に上げる。 興行不敗を誇ってきた「ジゼル」(6月13~17日・芸術の殿堂)公演も、今年のラインナップに入っている。
海外の輝くダンス界の訪韓舞台もそろそろ予熱状態に入った。 革新の振付家ピナ・ バウシュ の遺産を保存しているドイツのピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団の「フルムーン」(Full Moon・3月28~31日・LGアートセンター)は、今年の韓国国内全体の舞踊公演中で一番に挙がるほどの期待作だ。 これに先立ち「トト・ザ・ヒーロー」を演出したベルギーの映画監督ジャコ・ヴァン・ドルマル(Jaco Van Dormael)と令夫人である振付家ミッシェル・アンヌ・ドゥ・メイ(Michele Anne De Mey)の感覚的な舞踊「Kiss & Cry」(3月6~9日・LGアートセンター)が新春を呼び覚ます。
【ファイナンシャルニュース】